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怒ったら「負け」である

剣豪・宮本武蔵は『五輪書』の中で、敵を倒す手段の一つとして「(相手を)むかつかするといふ事」を挙げている。
そして、どのようにすれば敵を「むかつかする」ことができるかは、「敵の意表を突くことだ」と説明しているのだ。
 
命のやりとりを交す剣術で、数々の勝負を勝ち抜いてきた武蔵が、「ムカついたら負け(=命を失う)」と言っているのである。
つまりこれは、怒りやすい(ムカつきやすい)相手ほど、楽勝という事を意味する。
そして、怒りやすい相手とは、「意表を突かれることに弱い相手」なのだ。
意表を突かれることに弱いという事は、「想定の範囲が狭い」という事に他ならない。

確かに、物事がすべて想定の範囲内であれば、心を惑わされることはない。
しかし、我々は無意識のうちに勝手に「想定(=ハードル)」を作り上げてしまっている。 
普段の生活で「子どもがいう事を聞かない」、「電車が到着予定時刻に来ない」、「前を走るクルマが遅い」などの、想定外・予想外の事態に、いら立ちを覚える人は多いだろう。

しかしそれでは「負け」である。
というか、 あなたの勝手な「想定」の範囲が狭いのだ、はっきり言って。
「なんでも起こりうる可能性はある」と、覚悟を決めなくてはならない。

では、どうすれば勝てるか?
相手がこちらに「ムカつかす」ことをしてきた場合、どう対処するか?
いかに普段は温厚そうでも、いざ想定外のことが起こったときに、その人の「本性」は明るみになる。
しかし、すべてを「想定の範囲」とするのは至難の業だ。
ただ、想定外のことが起こっても、心がけ次第で悠然と構えることはできる。
つまり「平常心」でいることが、勝負に勝つ秘訣なのである。
『五輪書』をよく読めば、勝負に勝つためにはあらゆる手段を使って、相手の「平常心」を失わせること だという事がわかるはずだ。
逆に言うと、実力がほぼ同じであれば、どんな挑発をしても平常心を失わない相手に、勝つことは難しい。
そんな相手に勝つ最後に残された手段は、死ぬ覚悟で立ち向かうことである。

それにしても意外に思ったのは、「ムカつく」という言葉は現代においてよく使われ、いかにも最近の言葉のように思えるけれども、実は戦国時代から「ムカつかす」という言葉で既に存在していたという事だ。

そして昔から、「怒ったら負け」という事は語られ続けていたのである。

さて、以上のように考えると、佐々木小次郎は、武蔵にまんまとはめられたのである。
彼は、武蔵が巌流島の勝負時刻に遅れて到着した「想定外」の事態に、思わずムカついてしまったのだ。
そしてその時点で、勝負は半分決していた。
小次郎がムカつくことは、武蔵の「想定内」だったに違いあるまい。
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